アルバイト・パートタイム採用におけるAI面接の活用｜メリットや着眼点を解説

AIの技術発展を受け、採用面接においてAIを活用する「AI面接」への注目が高まっています。この記事では、主に企業の人事・採用担当者へ向けて、アルバイト・パートタイム採用においてAI面接を活用する際のメリットやポイント、組み込んでおきたい質問例を解説します。

新卒採用におけるAI面接については、下記の記事をお読みください。

新卒採用におけるAI面接の活用｜メリットや着眼点を解説

中途採用におけるAI面接については、下記の記事をお読みください。

中途採用におけるAI面接の活用｜メリットや着眼点を解説

AI面接とは

AI面接とは、文字どおりAI（人工知能）を活用して行われる面接のことです。技術の進歩により、日本でもさまざまなAI面接サービスが登場しており、面接それ自体、また、面接の分析・評価などをAIが担うようになっています。

AI面接には、採用担当者の負担やコストを削減できる、時間や場所の制約なく面接を受けられる、統一的な基準による公平な面接・評価を受けられる、といったメリットがあり、アルバイト・パートタイム採用においても活用が広がっています。

より詳しい内容は下記の記事にまとめていますので、あわせてお読みください。

AI面接とは？　メリットや導入時の注意点・ポイントを詳しく解説

アルバイト・パートタイム採用でAI面接を活用するメリット

AI面接にはさまざまなメリットがありますが、アルバイト・パートタイム採用でAI面接を活用する場合、特に以下の点を特長として挙げることができます。

採用工数を削減できる

アルバイト・パートタイムの面接では、仕事において必要なコミュニケーション能力やマナーの確認、シフトの希望や対応可否の確認といった点に重きが置かれることが多く、これらはAIで代替することが可能な内容です。たとえば各地域・各店舗の責任者が多忙な中で多数の採用面接に時間を割いている場合、AI面接を活用することで時間の余裕を作ることが可能となります。

アルバイト・パートタイムの選考は、1回の面接で終了することが大半で、これをすべてAIに委ねることに抵抗を覚える場合もあるかもしれません。AI面接を行い、さらに人が面接を行う、といったフローをとるとすると、かえって工数増加となってしまうという見方もありえます。しかし、AIに必要事項の確認を委ねた上で絞り込みを行い、最終確認のために短時間で人による面接を行うという進め方をすれば、すべての面接を人が行っていた場合と比べ、時間の削減ができる上、AIの評価も加味できるというメリットがあるといえるでしょう。

多くの応募への期待・対応につながる

AI面接は、時間・場所の制約なく受けることができるため、応募者にとっても負担が少ない面接方法です。また、日程調整を要さないため、応募から採用までに要する日数もその分短縮されます。簡単な手続手続で、すぐに働き始めたい、という応募者のニーズに応えられることから、応募数の増加も期待できるでしょう。

また、新たに出店する際などは、通常、店舗が完成した後オープンまでの短い期間の中で採用選考が行われます。企業としては、限られた期間に数十人単位での採用をしなければならず、一種のプロジェクトを進めていく形となります。これにすべて人が対応するのは大変な負担ですが、AI面接を活用すると、一日に何人でも面接を受けてもらうことが可能です。人の負担を抑えつつ、多数の応募者の選考を進めていくことができるようになります。

日本語能力も確認できる

近年、日本語を母語としない外国人が日本で働くケースが増加しています。企業としては、日本語でのコミュニケーションが十分にとれるかどうかも重要な点であり、日本語能力試験の認定レベルが一つの指標となりますが、日程や会場の関係から受験できずにいる人もいるでしょう。そのような場合、企業自身が応募者の日本語能力を面接で確認する必要がありますが、これはAIに委ねることが可能です。面接の時間を設けたものの日本語での会話が難しく不採用とせざるを得なかった、という状況を避けることができるといえます。

アルバイト・パートタイム採用のAI面接における質問例

アルバイト・パートタイム採用では面接の限られた時間内で最低限確認したい事項が多々あります。AI面接を活用する際も、不足のないように質問を設けることが必要です。以下の質問例が参考となりますが、そのほかにも、たとえばパソコンを使う業務の場合はそのスキルについても確認するなど、自社で必須の内容を盛り込むようにしましょう。

「自己紹介をお願いします。ご経歴や趣味・好きなことなど自由にお答えください。」

AI面接の場合も、まずは自己紹介をしてもらい、面接の雰囲気に慣れてもらいましょう。ここで話してもらった内容は、人となりを知る一助ともなります。

「これまでにアルバイトやパートの経験はありますか？　もしあれば、具体的な内容や期間を教えてください。」

過去に同様の経験がある応募者であれば、すぐに仕事に適応してもらうことが期待できます。経験内容を話してもらう場合には、より具体的に説明してもらえるように質問を設定しておくとよいでしょう。未経験の応募者の場合には、回答内容を踏まえ、研修や教育を手厚くするなど、受入れ体制の準備に活かすことが考えられます。

「どんな人と一緒に働きたいですか？」

雇用形態の違いを問わず確認しておきたい内容です。アルバイト・パートタイム採用においても、人間関係に関する価値観を把握しておくことで、同僚と良好な関係を築いて働いてくれるかどうかを判断できるでしょう。

「これまでにクレーム対応をしたことはありますか？　どのように対応しましたか？」

クレーム対応には、顧客とのコミュニケーション能力や、苦情の内容を適切に聴き取る力、辛抱強さなどが求められます。クレーム対応が必要な職場の場合、こうした力を持っているかどうかを確認しておくとよいでしょう。

「もしマニュアルにない業務を任された場合は、どのように取り組みますか？」

アルバイト・パートタイムでは、マニュアルや指示の内容が明確に示されていることが通常だと考えられますが、例外的な状況が生じたりすることもあるでしょう。そのようなときにどのような考え方・行動をとる人物かを把握しておくことも採用にあたり大切です。

「週に何日、何時間くらい働けますか？　また、特定の曜日の希望があれば教えてください。」「土日祝日の勤務は可能ですか？」「夏季休暇や年末年始のシフトについて、出勤日数や時間帯に変更はありますか？」

アルバイト・パートタイムではシフト制がとられていることが多く、どの曜日・時間帯にどの程度働いてもらえるかを確認しておくことは、人員配置の計画を立てる上で重要な事柄です。また、夏季や年末年始といった変則的な時期に柔軟に対応してもらえるかどうかも確認しておけるとよいでしょう。

「通勤手段と通勤時間を教えてください。」

無理なく通勤できるかどうかや、交通遅延が生じた場合の対応方法について、把握しておきましょう。交通費の支給有無を判断するためにも必要な質問です。

「いつから働き始められますか？」

新卒一括採用を除けば、勤務開始日は必ず確認しておかなければならない事項です。アルバイト・パートタイムの場合、人員補充の関係で企業側で想定しているスケジュールがあることが多く、その日程に対応してもらえるかどうか、確認する必要があるでしょう。

アルバイト・パートタイム採用でAI面接を導入する際のポイント・着眼点

AI面接を導入する際は、下記の記事のとおり、留意したい点がいくつか存在します。

AI面接とは？　メリットや導入時の注意点・ポイントを詳しく解説

さらにアルバイト・パートタイム採用においては、その特徴に鑑みて以下の点がポイントとなります。

応募者の属性も念頭に置いた面接内容にする

アルバイト・パートタイム採用では、応募者の年齢は幅広くなることが想定されますが、学生アルバイトの募集の場合、社会人経験のない若年層が応募者の多数を占めることとなります。専門的な用語や硬く難しい言い回しは使わず、柔らかい口調での質問となるように設計するといった観点も考慮できるとよいでしょう。また、AIとの対話や機器の操作に抵抗を感じる人が相対的に多いと想定される高年齢層の場合、使いやすいサービス設計となっているかどうかも大切です。こうした点を満たせるかどうかをサービス選定の際に確認することも一つのポイントです。

人の役割も意識する

アルバイト・パートタイム採用では、面接は一度で終了することが大半であると言え、AI面接を活用した場合、併用や複数回の実施をしない限り、人が面接を行うことがなくなります。しかし、すべてをAIに任せるのは適切ではなく、AI面接はあくまで補助ツールであり、AIの出力する評価をもとに最終的な判断や見極めを行うのは人であるという意識を持つことが大切です。AI面接のみとすることが不適当と考えられる場合は、かえって工数の増加となることのないように留意しつつ、対面で話す機会を設けることも一案です。

また、AI面接のみで選考が終了した場合、採用された人は出社して初めて上司や同僚に会うことになるとも考えられます。不安を抱かせることなく円滑に人間関係を築けるよう、適切なコミュニケーションを心掛けるといったことも大切になるでしょう。

まとめ

AI面接は企業・応募者の双方にとってさまざまなメリットのあるものであり、アルバイト・パートタイム採用においても、工数を削減しながらより多くの面接を実施することが可能となります。面接それ自体の負担軽減はもちろん、採用判断において必要な質問を設けておくことで、面接実施後の判断を容易に行っていけるでしょう。アルバイト・パートタイム採用の場面においても、AI面接を導入する際は信頼・安心のできるサービスを選ぶとともに、特徴やルールを十分に理解し、AIと人の役割分担を明確にした上で、適切な運用を図っていきましょう。