2025.05.13
新卒採用におけるAI面接の活用|メリットや着眼点を解説
- #AI面接
- #採用

AIの技術発展を受け、採用面接においてAIを活用する「AI面接」への注目が高まっています。この記事では、主に企業の人事・採用担当者へ向けて、新卒採用においてAI面接を活用する際のメリットやポイント、組み込んでおきたい質問例を解説します。
中途採用におけるAI面接については、下記の記事をお読みください。
アルバイト・パートタイム採用におけるAI面接については、下記の記事をお読みください。
アルバイト・パートタイム採用におけるAI面接の活用|メリットや着眼点を解説
AI面接とは
AI面接とは、文字どおりAI(人工知能)を活用して行われる面接のことです。技術の進歩により、日本でもさまざまなAI面接サービスが登場しており、面接それ自体、また、面接の分析・評価などをAIが担うようになっています。
AI面接には、採用担当者の負担やコストを削減できる、時間や場所の制約なく面接を受けられる、統一的な基準による公平な面接・評価を受けられる、といったメリットがあり、新卒・中途や雇用形態の別を問わず活用が広がっています。
より詳しい内容は下記の記事にまとめていますので、あわせてお読みください。
AI面接とは? メリットや導入時の注意点・ポイントを詳しく解説
新卒採用でAI面接を活用するメリット
AI面接にはさまざまなメリットがありますが、新卒採用でAI面接を活用する場合、特に以下の点を特長として挙げることができます。
採用工数を削減できる
新卒一括採用では一般に相当数の選考が限られた期間内に行われます。また、採用活動の早期化も背景として、直近の年度の選考のみならず、翌年度、場合によってはその次の年度の採用業務も並行して進めるケースが増しており、多くの採用担当者が常に何らかの業務負担を抱えています。
こうした中で、AI面接を導入すると、面接のための日程調整や場所の確保が不要となるほか、面接そのもの、また、面接結果の整理・分析など、面接に関する業務の多くをAIに委ねることができ、従来面接に割いていた時間・人手を大きく削減し、その他の業務にリソースを移すことが可能となります。
公平な面接を実施できる
企業の規模にもよりますが、新卒一括採用では多数の候補者との間で面接が実施されることから、企業側の面接官も多数となることも少なくありません。このような中で、各企業でマニュアルや評価基準などを用意し、統一的な実施が図られているとしても、面接官による違いが生じることは完全には避けられません。
しかしAI面接では、事前のデータやアルゴリズムに従って、一貫した面接・評価がなされます。どの面接官の面接を受けるかや、どの順で面接を受けるかといった違いによる影響を受けることがなく、どの候補者にとっても公平な面接となります。
スクリーニング機能を果たせる
多くの応募を一度に受ける新卒一括採用では、人手を要する面接に進む前の、エントリーシート(ES)の内容に基づく候補者の絞り込み(スクリーニング)が一定の役割を果たしています。その際、多くの場合、志望動機や学生時代の経験といった内容のほか、文章力も評価の基準とされています。
しかしながら近年、ESの作成にもAIが用いられ、文章に関するその人自身の力や人による違いが表れにくくなっており、ESがスクリーニングの機能を果たさなくなっているとも言われます。ただ、ESによるスクリーニングを緩め、担当者との面接に進む人数を増やすことは、企業にとって大きな負担ともなり、現実的でもありません。
そこで、ESに代わるスクリーニング機能を果たすものとしてAI面接を活用することが考えられます。AI面接では、候補者がAIとの会話を行うため、本人自身の言葉で話をしてもらうことができ、また、ESに書かれるような内容はもちろん、コミュニケーション能力や言葉遣いといった点を評価することも可能です。企業の負担を抑えつつ、選考の第一段階で一定の見極めを行うことが可能となります。
応募者の関心を惹くことができる
AIの活用は、大学・学校や仕事の現場でも広がりつつあり、若年層にとっては今後ますます当たり前のものとなっていくでしょう。現在でも、就職先を選ぶにあたり、AIを事業・業務にどの程度活用しているかに関心を寄せる新入社員世代は増えているとの声も聞かれます。AI面接を導入している企業であるということ自体が、企業イメージにとってプラスに働き、採用ブランディングとしての効果にもつながることが考えられます。
新卒採用のAI面接における質問例
新卒採用におけるAI面接は、多くの場合、書類選考の代替や一次面接として実施されることが想定されます。このような位置付けでAI面接を活用する場合、特に以下のような質問を設けるとよいでしょう。各質問に対する回答内容それ自体を把握できるほか、端的・明瞭に論理一貫した回答がなされているかどうかについてのAIによる分析結果も得ることができます。
「自己PRをしてください。」
新卒採用は中途採用と異なり、仕事に関する過去の経験やスキルに基づく評価ができません。企業として求める資質や適性を満たしているかどうかや、どのような点をアピールポイントとしているかを確認するため、自己PRを回答してもらうようにするとよいでしょう。
「長所と短所を教えてください。」
長所・短所を尋ねることで、自分を客観視できているかどうかや、短所の改善への意識を確認することができます。長所については、会社でどのような活躍を期待できるかを測ることにも役立てられます。
「学生時代に頑張ったことは何ですか?」「その経験から学んだことは何ですか?」
この質問を通じて、物事に取り組む姿勢や意欲といった人物像を知ることができます。自らの成長に関する価値観を見極め、入社後にどのような活躍が期待できるかを評価することができるでしょう。
「志望する業界・職種を選んだ理由を教えてください。」
業界・職種や企業に対して、どのような興味関心・共感を抱いているかや、その具体的な中身・度合いを知ることも大切です。これにより、入社後の仕事に対する貢献意欲を測ることが考えられます。
「入社後にやりたい仕事は何ですか?」「10年後、どのような社会人になっていたいですか?」
入社後の展望を尋ねることで、どのようなキャリアプランを持っているかを確認できるでしょう。また、将来のビジョンや目標も尋ねると、業界や企業にどの程度適合し、どのように貢献してくれるかを、より長期的な目線で評価することも可能となります。
「どんな人と一緒に働きたいですか?」
人間関係に関する考え方を把握するための質問です。個人のパフォーマンスとチームワークのどちらがより重視されるのか、成長志向なのか安定志向なのかなど、企業によって文化はさまざまです。入社後のミスマッチを避けるためにも、応募者の価値観を確認しておくとよいでしょう。
新卒採用でAI面接を導入する際のポイント・着眼点
AI面接を導入する際は、下記の記事のとおり、留意したい点がいくつか存在します。
AI面接とは? メリットや導入時の注意点・ポイントを詳しく解説
さらに新卒採用においては、その特徴に鑑みて以下の点がポイントとなります。
事前の設計次第でカルチャーフィットの見極めへの活用も
新卒採用では、中途採用と異なり、スキルベースでの判断ではなく、コミュニケーション能力や人となり、意欲、カルチャーフィットといった判断軸が主となります。
こうした事項の最終的な見極めは人によって行われることが望ましいと言えますが、面接を通じてそのための判断材料を得たり整理したりすることはAIに任せることが可能です。その実現のために、面接においてどのような回答があれば自社への適合度合いが高いと評価できるのかなどを、詳細に言語化し、AIの質問や評価基準に組み込んでおけるとよいでしょう。
また、カルチャーフィットなどの一次的な評価は、AIに任せることが可能であるだけでなく、AIに任せるほうが適切であるとも考えられます。
新卒採用では、人事部の担当者以外にも、面接担当の要員として多数の社員が関わるケースもあります。こうした場合、マニュアルや評価基準が共有されているとしても、各社員が普段置かれている状況の違いや主観が無意識裡に評価に影響することもありうるでしょう。AIを用いると、人による評価の揺らぎを避け、会社全体として一貫した基準で応募者を見ていくことが可能となります。
質問や評価基準を設計する際は、あらかじめ現有社員にAI面接を受けてもらい、そのデータを評価の際の参考とするのも有効です。現有社員にAI面接を受けてもらうことで、採用ペルソナの精緻化につながり、本番の面接におけるAIの出力結果をより有効に活用していくことが可能となるでしょう。
人が最終判断を
特に応募が多数となる新卒採用の場合、負担の大きさから、選考の最初の段階は判断も含めてすべてAIに任せたいとの考えもあるでしょう。
しかし、AIの利活用に関する法整備はまだ途上であり、また、少なくともAIの判断の過程や結果に不測の事態が生じていないかどうかといった点の確認は必要です。また、そもそも人の将来を左右する判断をAIに任せることは問題ではないかという倫理的な観点も重要です。
AI面接は、あくまで人の判断を補助するツールであると捉え、最終判断を行うのは人であるという前提で活用方法・選考フローを検討するべきだと言えます。
まとめ
AI面接は企業・応募者の双方にとってさまざまなメリットのあるものであり、新卒採用においては特に、工数の大幅な削減、公平な面接の実施が期待されます。新卒採用の特徴を踏まえた質問を設けることで、人による判断の効率性や正確性も増すでしょう。新卒採用の場面においても、AI面接を導入する際は信頼・安心のできるサービスを選ぶとともに、特徴やルールを十分に理解し、AIと人の役割分担を明確にした上で、適切な運用を図っていきましょう。

この記事を担当した人
PeopleX コンテンツグループ
人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。
これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。
- 株式会社PeopleXについて
- エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。